■就業規則とは・・・・・・

 

労働者の人数がパート・アルバイトを含め10名以上いる事業場には就業規則の作成・周知および労働基準監督署への提出が必要になります。

事業場とは、労働者が働く場所のことをいい、支店や営業所単位ということになります。

例えば、会社全体で労働者が50名いたとしても、各支店や営業所単位での労働者が10名未満しかいないのであれば、就業規則の作成義務はないことになります。

しかし、就業規則がなければできない処分もありますので、10名未満の会社であっても就業規則の作成をお勧めします。

なお、10名未満の場合には就業規則の労働基準監督署への提出は任意になりますが、周知されていない就業規則はないものと同様に扱われることになりますので周知は必要です。

 

就業規則がなければできないことの例

 

①懲戒処分ができない

よく懲戒解雇や出勤停止ということを聞きますが、この懲戒処分は就業規則が根拠になるため就業規則がないとできません。

従って、例えば会社の金品を横領した場合に、就業規則がないと懲戒解雇ができないことになり、本人が自己都合退職をしない場合には、会社都合での解雇をすることになります。

 

②出向ができない

社員を関連会社等に出向させるためには、就業規則か社員同意が必要になります。

もし、社員が出向を拒否した場合に、就業規則を根拠に出向させることが可能です。

ただし、状況によっては出向が出向命令権濫用と判断されることがあります。

 

③休日の振替ができない

事前の振替は、労働契約上特定されている休日を他の日(振替休日)に変更することなので、会社の休日振替命令が、労働協約や就業規則などの労働契約上の根拠が必要で、それらの規定で、定められた休日を他の日に振替えることができること、そしてその理由・方法を定める規定があり、それに従って振替が行われることが必要です。

このような規定がない場合には、休日振替えは、労働者の個別の同意が必要となります。

 

④休職期間満了による退職扱い

社員が私傷病により休業する場合、病気が治らなければそのまま在籍し続けることになり、その社員に辞めてもらって、新しい社員を雇わないと業務が滞ることがあります。

また、社員が休んでいる間、無休であったとしても健康保険料と厚生年金保険料の会社負担は発生しますので、長期間の休業は出来れば避けたいところです。

この場合に就業規則に休業規定を作っておくと、解雇して辞めさせるのではなく、自己都合退職のように辞めてもらうことができます。